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船下智宏さん

船下 智宏 さん

料理民宿さんなみ
能登町
ふだん着の能登料理でおもてなし

家業の民宿を継ぎ、郷土料理を出す民宿として全国に名を知られる宿に成長させた。宿泊客は、窓から波静かな海を臨み、自家の畑に歩いて出られる。裏山に行けばキノコや山菜が手に入る環境で、ゆっくり流れる能登の時間を味わえる。自分を振り返る時間と空間、豊かな田舎がそこにある。

料理民宿さんなみ
石川県鳳珠郡能登町矢波27-26-3 〒927-0443
TEL.0768-62-3000
http://www.noto.ne.jp/sannami/
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◆昔からの能登の味が都会のお客様に評価された

今年、「農林漁家民宿おかあさん100選」の前半が発表され、その中の一人に選んでいただいた。うちはお蔭様でこれまでもいろんなメディアで取り上げていただいたけれど、自分たちが子どもの頃から当たり前に食べてきた料理を提供してきただけ。何てことのなかった地元の料理だから、却って地元の人が見向きもしなかったものを、もう一度ていねいに掘り起こしてきた。外で料理の修業をしてきた人は、「小糠イワシ」とか「いしり」とか言われても首をひねる。昔からここで食べ育ったものは、料理じゃない。「もてなしって違うやろ」という発想で、バカにされたりもした。
でも、能登じゃないと出せないものを提供する。それが、都会の方には新鮮で喜んでいただけた。そうでなければ、わざわざ来てくださらない。

◆田舎の体験

 今、グリーンツーリズムの取り組みが全国で言われるが、これも我々の世代なら当たり前に経験してきたことを、今の子どもにわざわざ体験する機会を作ってやるという取り組みになっている。今の子どもが山へ行ったら、どれが食べられるかも分からない。我々が子どもの時分は、もうしょっちゅう山へ行き、あちこち歩いては木の実やらキノコやらあらゆるものを食べてみたから、そんなことは無かった。しかもこれが実は、もう私らの年代しか分からなくなっている。能登の田舎にある我が家でも、娘になると、どれなら食べてよいか全く分からない。

◆遊びの感動

ツリーハウスの体験メニューというのも人気らしい。特別な構造物じゃ無くっても、自分らだけが知っている場所とかでも、十分秘密基地になっていた。ゲーム世代の今の子どもたちはたぶん、そんな面白さを知らないね。勉強せんと遊んでばっかりだったから、その点ではいくらでもチカラになれると思うよ。
体験事業はリピートしないことが問題だそうだけれど、同じグリーンツーリズムでも、そういう感動を与えることによって、結構リピーターになってくれるのではないかという気もする。

◆上手くないといけない

第一に大事にしたいと思うのは、お客さんに「負担やなぁ」と思わせたらダメ。昔から何をするにせよ、お客さんが負担に思うようなことはやりたくない。あれもこれもプログラムいっぱいというのは、イヤになってくる。長続きせんなぁと思う。「また行くのか、大層いなあ」と、負担になってくる。インタープリターは説明し過ぎず、手を出し過ぎず。言いっぱなしでもイカンし、語り部っていうのは要するに、上手くないといけない。

◆日ごろの緊張を解ける田舎

緊張を強いられる都会の暮らしの中で、「たまにはあそこに行こうか」という決まった場所がある、ということは良いと思う。
旅館あたりに連泊したら、意外に緊張感がある。そんな緊張感の中で連泊しても、「のんびりした」って気持ちじゃ無い。田舎の親戚の家でゴロンとしているのと訳が違う。人気を集めている農家民宿は、「足でも伸ばしてゆっくりするか」って気になるんだと思う。子どもたち世代にも、自分の田舎のようなそういう場所を作ってやれたら息抜きができる。

さんなみの朝食

◆気持ちの解放から来る会話

うちにいらしたお客さんが私に喋っていることは、おそらく日ごろ職場の人間にも言えんことを話している場合がある。やっぱり都会の人は、最初来た時は構えている。ちょっと話しすると、ダダダッとなだれ込んでくるみたいに話をされる方もいらっしゃる。それで気持ちが親しくなって、また来てくれるというのもあると思う。
翌朝になると、別のグループの方同士が集まって炉端に座って話していることも多い。我々は「お茶でもどうぞ」とモーニングコーヒーをお出しして、その場を作る。それがお客同士の会話にもつながる。都会のマンション暮らしとは違う、心の対話をしている筈。
もちろん、ホテルのようにプライベートをきっちり確保して、あまり干渉して欲しく無いという旅もあると思う。これからの宿が何を目指すか。絶対数、どっちが増えていくかな。

さんなみからの眺め


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