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のとだより
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学生プロジェクト

「里山マイスター」の人たち


 3.卒業生・山崎さんの一日

今回「能登里山マイスター」養成プログラムの取材として、私は山崎鉱太郎さん(33)の取材をさせてもらいました。山崎さんは、里山マイスター養成プログラム一期生の卒業生で、唯一能登で就農された方です。山崎さんが里山マイスター養成プログラムに参加した理由は、母親が家庭菜園をしていて、それを手伝っているうちに面白くなり、本格的に農業をやってみようと思い立ったからだそうです。現在は珠洲市内のシイタケ栽培農家のもとで仕事を手伝いながら、栽培や経営手法を学んでいます。いずれは、自分の地元である輪島市での独立をめざしていて、今年その準備として、シイタケ栽培に必要な原木を山から切り出す作業始めています。(金沢大学・川田仁美)
■シイタケ栽培は森を守ることに
山崎さんが、数ある農作物の中からシイタケを選んだのは、初めて食べた原木シイタケの味がスーパーで売っている菌床シイタケの味とは全く違い、それが衝撃的で、この原木シイタケの味を他の人にも知ってもらいたい、売れるかもしれないと思ったからだそうです。
実際に原木シイタケを食べさせてもらいました。私はもともとシイタケが苦手なのですが、今まで食べたシイタケとは違い、味が濃く、おいしく食べることができました。
取材ではまず、菌打ちの作業を行っている作業場を見せてもらいました。菌打ちとは、シイタケを生やすために、1メートルほどに切った丸太にドリルで穴をあけ、種駒(たねごま)と呼ばれるシイタケの菌を穴に詰め込んでいく作業です。
 
作業場には、中にも外にも菌を打つための様々な太さの丸太がたくさん積んでありました。一年分の丸太だけで、およそ5千~8千本あるそうです。その中には、太すぎる丸太や、細い丸太も含まれています。
「これもシイタケ栽培の原木で使うのですか」と質問をしました。
すると、「シイタケ栽培と森の保全を兼ねて、森の木を適度に切っています。放っておくと森が荒れてしまうので、様々な太さの丸太を使うことは、森の環境を守るためでもあるのです」との返事でした。
つまり、原木シイタケの栽培は森林整備にもつながるということです。現在、高齢化も進み、人が木を利用しなくなったために荒れてしまった森が、能登にもたくさんあるそうです。そんな能登の自然を守り、さらに若い人の力で能登を活気づけるためにも、山崎さんのように能登で就農する人が増えることは大きな価値のあることだと、改めて感じました。
■シイタケ農場に広葉樹を植える工夫
作業場を出て、シイタケ栽培の農場を見せてもらいました。そこには、あたり一面に菌打ちされた丸太が組まれていました。
どこまで続いているのかわからないくらいの広さで、丸太は全部で約3万本もあるそうです。それだけの数の丸太を一人で山から切り出して、この場所まで運ぶだけでも相当大変な作業だろうと思います。
しかも、シイタケがよく育つように計算されているそうです。たとえば、シイタケは直射日光に弱いので、夏には強く日差しが当たらないように、冬には少しは日光が当たるように加減をしなくてはなりません。そこで、夏には日陰を作り、冬には日差しを入れるため、丸太を並べた周りに広葉樹を適度に植えて森をつくるそうです。
シイタケは、菌打ちをして森の中に置いておけば自然に生えるものだと思っていましたが、栽培をするためには色々と工夫が必要なんですね。
山崎さんに今後の目標を聞いてみると、里山マイスターで学んだ環境に配慮した農業で、自然を守りながら、その付加価値も利用して原木シイタケを売り出すことと、経営的には「売上1000万円」を超えることを目標としているそうです。
この目標でしたら、インパクトがあると思いました。ホームページを使って、全国に自分のやっていることや能登の魅力を発信していきたいと話していました。
■能登の自然を守りながら進める農業
今回取材を通じて、山崎さんが能登の自然を守りながら農業をし、それと同時に能登の魅力を全国に伝えようとしていることの意欲が理解できました。また、山崎さんのような若い人たちが、能登半島を活気づけてくれるのではないかと思います。
しかし同時に、農業の大変さも垣間見ることができ、これからの農業を活気づけていくことは、決しては容易なことではないと改めて思いました。
山崎さんも、「能登の活性化のためには仲間づくりが大切。そのためにも、里山マイスター養成プログラムのような人材育成の制度が必要なんです」と熱く話していました。薪ストーブが赤々と燃えていました。
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