能登スタイル

パソコン版スマートフォン版



八郎兵衛さんの、よもやま話


※内容、時間、料金など掲載情報は取材時のものです。
ご利用・お出かけの際は、お問い合わせ先などでご確認ください。

能登の塩街道
 気がついたら、いつの間にか傘寿を越しとったんで、車の免許証を返納したんや。かれこれ、もう五十年近く車の運転をしとったけど、寄る年波には勝てん。まだまだ運転できる自信を持っとるうちに潔く返納すると決めた。それからは遠出をすることがなくなった。けど、今回、外浦の塩田を見てまわる機会があったんで、久しぶりに女房と一緒に行ってきたんや。いい天気の日やった。 
 
塩田
 能登では昔から「揚げ浜式製塩」がおこなわれておった。わしも子どもの頃、見たことがある。肩に担いだ天秤棒の両側に桶を下げて、じゃぶじゃぶと海に入り、腰をかがめて桶に海水を汲むと、浜にあがって塩田に潮水を撒くんや。あれは重労働や。潮水のいっぱい入った重たい桶が、両肩にくいこむ。何年もやっとると、天秤棒のあたる肩には、こぶができるんや。そしてこの仕事は、天気のいい日にしかできん。つまり、とても暑い日に、太陽にあぶられながらする仕事なんや。ほんに、辛い仕事やった。
 
 
 このごろ、能登ではいくつも製塩所ができとるそうや。作る塩は昔ながらの自然の塩やけど、ずいぶんと近代化された設備になっとると聞く。どんなぐあいになっとるんか、輪島から珠洲へかけて、三つの塩田を見せてもろうた。みんなそれぞれのやり方で、工夫をこらしておったったね。 
 
 最初に行った「(株)輪島製塩」は、2009年9月にできたばかりらしい。海の際に真新しい建物があって、広い塩田が広がっとった。「こんなふうに撒くんですよ」と、実際に海水を撒いて見せてもろうた。海水は美しい弧を描いて広がった。さすがにうまい撒き方や。それから海水を煮詰める釜や、できた塩や苦汁についても、詳しい説明を聞かせてもろうた。袋詰めをする前に、一粒一粒検品もしておった。検品は細かい仕事やと思うが、大事なことなんやろう。ちょっと味見をさせてもろうた。粒の粗い、けど、塩辛いだけでのうて、どこか旨みのある塩やった。これが本当の塩の味なんかもしれん。
 
 二番目に行ったのは、「道の駅 珠洲塩田村」。これも立派な建物で、広い塩田があった。ここには昔ながらの釜があり、道具も展示されていた。女房が「こんな道具、見たことあるのきゃぁ」と言う。そうや、昔の人は、こんな道具を使い、汗を流して働いておったったもんや。機械なんかなかった。みんな、人力やった。
 
 最後に「(株)珠洲製塩」へ行った。ここは「揚げ浜式製法」でなくて「流下式製法」やという。つまり、塩田の砂に海水を撒いて乾燥させるのではなくて、海水を汲み上げて、よしずのすだれや竹枝に繰り返しかけて、「かん水」つまり塩分濃度の高い海水を作る。それを大釜で煮て、塩の結晶を作っていくそうや。なんとも大掛かりな設備やった。
珠洲製塩   珠洲製塩
珠洲製塩   珠洲製塩
 輪島から珠洲へかけての外浦の海岸沿いには、他にもたくさんの製塩所がある。このあたりは、さしずめ「能登の塩街道」と言えるじゃろうて。
関連リンク
<広告>

PR

能登の産品を販売中!能登スタイルストア

能登の新米

広告募集