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八郎兵衛さんの、よもやま話


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飯田の灯籠山祭り
 人と顔を合わせるたびに「暑いのきゃ」「暑いのきゃ」と挨拶する時期になった。お日様はジリジリと照りつけ、風を求めて家中の窓を開け放しても、入ってくるのは暑さを増すような蝉時雨だけや。せめてもと、扇風機の風にあたっていたら、家の前に車が止まった。こんな暑い日に出歩くなんて物好きな、いったい誰やと思ったら、玄関に入って来たのは金沢に住んどる孫娘やった。急に、飯田町の「灯籠山祭り」が見たくなったという。久しぶりに孫娘に会った嬉しさで、暑さなんか吹き飛んでしもうた。

 飯田の「灯籠山祭り」は、370年の歴史があるというが、この辺りでは一番大きな祭りや。高さ約16mの灯籠山と8基の山車が町を練り歩く。夜店が並び、浜では花火が打ち上げられ、たくさんの人で賑わう。ここ何年かは行っていないから、女房が孫と行きたいという。そうやなあ、孫に手をひかれて祭りへ行くのも、良かろうて……。もっとも、わしは藁細工を作りながら留守番をしていることにしたんやが。
 「灯籠山祭り」に孫娘と来られるなんて、今の今まで思うてもいませんでした。まずは、市役所の前にある「飯田わくわく広場」へ。広場の真ん中に、大黒様の灯籠山が置かれ、祭りの主役である春日神社へ続く道には、たくさんの屋台が並んでいました。夜になって灯籠山に明かりが灯れば、また見事なもんやろうと思います。広場には真新しい足湯があり、温かいお湯に足を浸すと、日ごろの足の痛みが抜けていきました。父ちゃんも一緒に来れば良かったのに……。何はともあれ暑いので、屋台のカキ氷を買って食べました。懐かしい甘さの、イチゴ味でした。 
大黒様   出店の様子
 ひと息ついてから、山車を探しに行きました。「ヤッサー、ヤッサー」の掛け声が聞こえ、揃いの法被を着た若い衆に引かれた山車が、ゆっくりゆっくりと動いてきます。山車の上には法被にねじり鉢巻の子どもたちが陣取り、大人に負けじと「ヤッサー、ヤッサー、サー、ヤッサー」と声を張りあげていました。八つある山車は金箔に漆塗りで、入母屋型の屋根にそれぞれの町会の名前をつけた提灯をぶらさげ、恵比寿様や布袋様、龍に鳳凰などの見事な彫刻で飾られています。町会ごとに小さな舞台が作られ、その前に来ると山車は止まり、子どもたちが舞台の上で歌い踊るのです。山車を引く人、見物する人、誰もが昔からの知り合いのように話し、笑い、通りの家々では道行く人たちにも酒をふるまいます。
 
 賑やかな人ごみと、威勢のいい「ヤッサー、ヤッサー」の掛け声の中に身を置いていると、いろんなことを思い出しました。若い頃、友だちと祭りに来たこと、結婚してからは、騒ぎ疲れて眠ってしまった子どもたちを父ちゃんが背負い、一緒に夜道を歩いて帰ったこと、小さな孫たちが花火の音に驚いて、わたしの服に顔をうずめて震えていたこと。そして今は、わたしより背の高くなった孫に連れられて祭りに来ているのです。
 
 豪華で華やかな山車は昔のままだけれど、わたしらはずいぶんと年取ってしもうたものです。淋しいような、嬉しいような、ほろ苦い想いが心を過ぎっていきました。
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